ボンヤリとしていたその時、携帯の着信音が流れ、朋香はビクっとして一瞬で我に返った。


携帯を開いてみると…

何というバッドタイミング。


…母親からだった。



出ようかどうか躊躇ったが、もう何ヶ月連絡を取っていないだろうか。

溜息を1つ大きく付いて、携帯のボタンを押した。


『もしもし』


『朋香?
最近連絡ないから心配してたのよ。
変わりはない?
病院はちゃんと行ってるの?』


ウンザリする。

質問攻め。


やっぱり出なければよかった。


『大丈夫よ。
ちゃんと生活してるし、病院も行ってる。
変わりない。
そっちは?』


『貴女はこっちの心配なんてしなくて良いの。
変わりないなら良いわ。
たまにはそっちからも連絡しなさいね』


『…分かった』


通話時間は1分未満。

それだけで電話は切られた。



いつからこんなになったんだっけな…



ベッドに仰向けになり、左手首の傷を引っ掻いた。

赤い血が流れ出てきた。