ベッドの上で朋香はぼう然としていた。


(光弘…いつもと違った…)


やっと恐怖が朋香を襲ってきて、今更身体が震え出した。

その震える足でベッドから降りて、鏡の前に立つ。


朋香の白い肌。

その心臓の上に、思いっきり噛み付かれた痕があった。



その傷を、朋香は自分の指でなぞった。


ドクンドクンと波打つ鼓動。



光弘は私の心臓にマーキングしたのだ…

私の命を握っているのは光弘なのだと…



震えが喜びに変わる。



光弘の本音。

それは甘くて痛い、嫉妬と独占欲という名の鎖。

仲直りをした訳じゃない。


光弘は、最後の台詞を吐き捨てるように出て行った。


だけど、分かる。

これから2人は変わるのだと。


光弘の不安は受け取った。

次は私が本音で光弘にぶつかる番。


自分の今までと、コレからの人生を、丸ごと愛してもらおう。

自分の分かる範囲のコトは全部話して、一緒に1歩進もう。


2人一緒だったら2歩進めるかもしれない。



『愛してる』という言葉以上に表現の仕様がない貴方が、今の私にとって生きる意味なのだと。