「朋香ちゃん、今日はいろいろとありがとう。
お家はどこだったかしら?
送っていくわ。」

と言ってくれたが、

「いえ、とんでもないです…。
駅に自転車を置いてあるから大丈夫です。
それより、今は瑠璃子の傍にいてあげてください…」

と少し困ったように笑った。


「そう…本当にありがとうね。
今はまだ私も瑠璃子も混乱しているけれど、何かあったら相談させてもらっても良いかしら?」


「もちろんです、私に出来るコトがあれば何でも。
私はいつも瑠璃子に助けてもらっているから…」



朋香がそう言った裏には、実は別の意味がある。

瑠璃子が手首を斬るという行為に及んだ事…。



それは自分が、リストカットの痕を見せたからではないか。

見せていなければ、リストカットなど思い付きもしなかったのではないか。



こういう逃げ方もあるというコトを自分が教えてしまった。

無意識であろうと、瑠璃子がそういうコトをしたのは、自分のせいではないか。


瑠璃子からリストカットをしたという連絡を受けて以来、ずっと朋香の中で引っかかっていた。



この誰にも言えない重たい罪悪感が、後々に歯車を狂わせる一因となる…。