朋香は何だか落ち着かずにいた。


今日は1限の講義に間に合ったものの、さっきの黒い封筒が気になって仕方ない。


別に今開けたって問題はないのだが、何故か妙な気分である。

違和感を感じるのである。


(光弘か美穂に相談してから…
イヤ、何を相談するんだろう…?)


まだ中も見ていないのに。
文通をすると決めたのは自分なのに。


(そうだよ、まずは見てみないと…
2人に話すかどうかは、ソレからだ)


意を決して、封を切る。

一応、教授から見えないように、机の下でゴソゴソと事を運ぶ。


中から出てきた便箋も黒。
黒の便箋に、白字で印刷してある。


(わぁ…何か神秘的…)


妙に感心してしまう。

それと同時に、朋香の中で『雫』のイメージは黒となった。


『こんばんは。
いきなりだけど”朋香”と呼ばせてもらってイイかしら?
私のコトも”雫”と呼んでちょうだい。
ごめんなさいね、何でもかんでも急に決めてしまって。
林先生…智也に、私が無理に頼んだの。
はじめまして…と言いたいところだけど、私は朋香のコトを知っているのよ。
気を悪くしないでちょうだい。
コレは運命なの』