火曜の夜。

昼食も夕食も断って部屋に引き篭もり、ベッドの中にいた。


さすがに親が心配していたが、具合いが悪いからと嘘を付いた。

まぁ、あながち嘘でもない。

今だに勝手に溢れ出てくる涙。


一体この体内にどれ位、これだけの涙用の水分が貯められていたのか。

あまりにも泣きすぎて、何が原因で泣いているのかが想い出せない。


ただ、何となく大切なモノを失った感覚が残っている。

自分から突き放した気がする。


(あぁ、そうだわ、雄一さんと別れたんだった…)


瑠璃子はやっと想い出した。


そして携帯を取って、黙々とロングメールを打ち始めた。

仲良しの3人に事の結末だけでも知らせなくちゃ…と思ったのだ。


送信して気が抜けていたところに、メール着信音が鳴った。

朋香からだった。


『瑠璃子、大丈夫?
1日中、泣いていたんじゃない?
ご飯は食べた?
今日は眠れそう?』


何で分かるんだろう。


1日中、泣いていた。
ご飯は食べていない。
疲れてはいるけど眠れそうにない。


寝たら悪夢に足を引っ張られそうで。


『無理みたい、私、生きていけないかも…
自分で決めた事なのに…』

と朋香に返信をすると、またすぐに返事が来た。


『私、明日、診察日だから、良ければ瑠璃子を紹介するよ?
こういうのはプロに任せた方がイイから…
特に…変な気を起こす前に…ね?』


『ありがとう、じゃあ、お願いするね…』


と瑠璃子は返事を返した。

変な気って何だろう?



真っ紅な左手首と真っ紅に染まったシーツを見ながら、瑠璃子はボンヤリと不思議に思った。


チキチキチキ…

カッターの刃を出したり閉まったりする音だけが部屋に響いていた。