少なくとも、気付いた時には、

もう嵐の中にいたんだ。




平穏だと想っていた日々は、台風の目のような空間で、

既に嵐は半分通り過ぎていた。




単純に見えていた関係は、運命の赤い糸のように混線していて、

誰もがその時、抗う気力さえ失くして、

根元から斬ってしまった方が早いと想っていた。





だけれども、

出逢ってしまったモノは、消えてしまわない。

絡まってしまったモノは、ほどかなくてはいけない。




前にも進めず、その場にも立ち尽くせず、後ろにも戻れない。




”ならばいっそ、堕ちた方がマシね”




誰かの嘲い声が聞こえてきそうだ。







そう、あの学園祭の日、

後夜祭の準備で係員が走り回っている中、

『彼ら』は、どうしようもない複雑な想いを抱えていた。



夕方のオレンジ色の光を放つ太陽と、薄っすら欠け始めていた半月が、空で共演していたあの日。