「ねぇ、隆斗」



「何だよ」



「愛してるっ!」



チュッと頬にキスをして、良い歳して「きゃーっ!」と、興奮しながらスキップして、商店街のアーケード街に入った。



「…待て」



けど、隆斗に止められて、物陰に隠された。

“ん…?”と思いながら先を覗くと、そこには覆面を被った、スエット姿の6人の男たち。

私たちに気付かずに、ヤツらは通り過ぎた。



「――っ!!」



初秋の風に舞う香水の香り。

私は隆斗と顔を見合わせた。

…偶然…?

それともこれは。

必然――…?