聞き分けの良い子だ。

雄志に爪の垢でも、煎じて飲ませたくなった私たちの前に、雄志は呼び鈴を押してから、勝手に入って来た。



「“お邪魔します”は」



「お邪魔します…;;」



「お邪魔します…って。アレ?頼子ーヨリコー?」



隆斗に拳骨を食らわされ、痛がりながら、雄志は私の隣に座った。

座る場所を奪われた隆斗は、篤と並んで絨毯の上に座った。



「頼子、泣いた?」



「私も泣いた」



「姫菜ちゃん、ちょっと黙ってて!」



…何でぇ!!

私、話を聞いてあげてたんだよ?

しかも、篤に言われたくなかったよ!

山地さんが喋るタイミングをなくしてるよ!