【完】祝・高校教師〜彼氏を追い掛けました㊤〜

過去を忘れられないのも、忘れるのも、両方…辛いんだ。



「姫菜…」



「何…?」



「忘れても、忘れられない気持ちは、今もあるよ」



志乃は、自分の胸を指差した。

大好きだった人。

離された彼。

寂しそうに、涙で揺れる瞳は嘘を言わない。



「うん…っ」



背負った後悔は違うけど。

忌まわしい事件をした私たちは、また手を取り合って笑った。



「もう、泣かせるな!」



「志乃が勝手に泣いたんでしょー!(笑)」



1人で思い出した時。

誰かと思い出した時。

現実への戻り方が違った。

自然と笑える。

心が軽い。

また一歩、進んだんだよね。