【完】祝・高校教師〜彼氏を追い掛けました㊤〜

缶を上手くキャッチした志乃は、近くの椅子に腰を掛け、目の前に座った私を見た。



「私、ずっと気にしてた。雄志は組を継ぎたかったんじゃないかって」



「それは…雄志に目標がなくて、おじさんに言われた事を、全うしようとしてたんでしょ」



「…だろうね。“言う事がすぐ変わる”って、父親と喧嘩してた時に言ってた」



志乃のお姉ちゃんらしい姿が、微笑ましく見えた。

初めて見た気がする。



「志乃…雄志が弟で良かったね」



「うん。最近になってそう思ったよ(笑)」



志乃の表情は明るくて。

もう過去を完璧に乗り越えているように見えた。