私は自分の席に座った安西さんの隣の席に座った。

安西さんの右手の薬指に嵌まる指輪。



「中山とのペアリング?」



私は安西さんの指輪を指差しながら言う。

安西さんは「何でわかったわけ?」と言いつつ、笑わずに頷いた。

少し、寂しそうな表情で。



「ずっと幼なじみだった雄志と、去年の6月から付き合い始めて、記念日のクリスマスに、半年だからって貰った」



「…中山と、上手くいってないの?」



私の問い掛けに、安西さんは首を振った。

その姿に、自分の胸に痛みを覚えた。

昔、私も隆斗と付き合い始めた時に、悩んだ。

安西さんと同じように、右手に嵌まるペアリング。

事件の直後に貰って、私は泣いて喜んだっけ…。