「お嬢様!お待ちなさい!」 「えー!早く行きたいよ!」 私、小嶋姫菜。 今日から高校教師。 白のスーツを着て、黒縁の眼鏡を掛けて、家を飛び出した私は、執事の小五郎さんに止められた。 「念のため、コンタクトもお嵌め下さいませ」 「はーい!」 私はオッドアイ。 左目だけ、透き通るような青の瞳なんだ。 母方の祖父がイタリア人。 私はクォーターだ。 昔は何とも思わなかったけど、過去のある一件で、私はこの瞳を隠す事を義務付けられた。 誰が悪かったと言うより、“私も悪かった”あの事。