「あれ、想像してた海と違う。」 「そら、夜やからなあ。」 夜の海に行きたい行きたい、と彼に駄々をこねている内は、夜の海がキラキラ輝いているのだと信じていた。 でも、いざ来てみたら漆黒。大した魅力はない。 私はがっかりして、彼に八つ当たりでもするようにそっぽを向いて怒ったフリをした。 「つまらない。」 1番つまらないのは、この私やけど。彼にはそう思われたくないから、海がつまらないことにしてしまおう。 .