一瞬、あたしはタイピングの手を止めた。

両手から、今のあたしの状況が零れ落ちてしまいそうだったから。


「ええと……」



宛先:シェリー


シェリーさんに心配されるとは。

実は、私




この時、

「優奈ー、朋宏さんが迎えに来たわよー」

一階の居間からママの呼ぶ声が聞こえた。


しまった、もうこんな時間。

朋宏に連絡するの忘れてた!!


タン、タン、タン……。


階段を上がる足音が聞こえてくる。


「もー、優奈ったらドジね~。朋宏さんの家の鍵持ったまま来ちゃうなんて」

「あはは、僕の連絡ミスですよ。こちらこそ夜遅い時間にすみません」


朋宏は、あたしのパパとママにとても信頼されている。


足音は一人分。

きっと朋宏だけが登ってきてる。


やばい……どうしよう……。