どうやら会長のファンは感情的らしい。楓は改めて気をつけなくては…と思った。楓は自分の事には無自覚だか他人の事には意外と鋭いのだ。
「礼には及ばない。当然の事をしたまでだ。」
相沢がそう言うと親衛隊の人達は『なんてお優しいのでしょう…』『さすが会長様ですわ…!』などと興奮していた。お前ら、どんだけ好きなんだよ…と言いたくなる。
「涼、行くぞ。」
話の区切りがついたので相沢は有巣川に声をかけた。
「ああ、そうだね。じゃあ三人とも歓迎会を楽しんでね!」
「「「ありがとうございます。」」」
三人そろって優雅なお辞儀をする。なんだかんだ言っても楓、薫、岬はお嬢様なのだ。その立ち振る舞いの中には一般人が簡単に真似できないオーラがある。
「おい、チョーカー付けとけよ。」
楓の横を通り過ぎる時、相沢が耳元で囁いた。その声は周りの人には聞こえない大きさだ。そしてさようなら、と挨拶したのだろうと思われるような笑顔で言い去って行った。
「ぇ…。」
いきなりの事に吃驚した楓が相沢達が歩いて行った方を振り返るとそこにはもう相沢達はいなかった。

