四王寺学園記



6月と言っても学園は山の中なので夜は冷える。肌寒さを感じながら楓は歩みをとめた。






「…なんか、嘘みたいだなぁ。」




今の生活が幸せすぎて、と楓は呟いた。





「嘘って、何が?」


「!?」

きょろきょろと周りを見るが、相沢の姿は見つからない。


「楓、こっちだ。」


声の先を辿るとバルコニーの上の露天風呂だった。そこから相沢がこちらを覗いている。