まるで金縛りにでもあってしまったかのようだ。
徐々に相沢の端正な顔が近付いてくるのを楓は抵抗一つ出来ず、ただただ相沢の瞳を見つめるだけになってしまう。
「…ん、」
優しく、慈しむように相沢の唇が楓の唇と重なる。
なぜか、嬉しいと感じてしまった。その反面、やめてと思ってしまった。
自分の事が好きじゃないのなら、嫌だと思った。この甘い口付けが他の人にされるのを考えたら、無性に腹が立った。それなら、最初からあたしなんかにしないで、と。
ちゅ、とリップ音を立てて唇が離れる。
「!?…楓?」
楓は泣いていた。その大きな瞳に涙をいっぱいに溜めて。
「あ、れ…?なんで私…っ…。」
そう言いながらも涙はぼろぼろと頬を伝う。

