四王寺学園記




「…楓。」

「はい?」

そう言えば、いつから相沢は楓の事を”楓”と呼ぶようになったのだろう。そんな呑気な事を考える。


「…尋和。」

「え?」

「尋和、だ。」



…何が言いたいのだろう。主語が無くて伝わらない。さっきから自分の名前を言っているが…何をしてほしいのだ。



「ひ、ろかず?」


「…ああ。」



尋和、と楓に名前で呼ばれた相沢は華のような笑顔を浮かべる。どうやら楓に名前で呼んでもらいたかったらしい。



「…ヒロリンが…っ!」

そう言って手で顔を覆う。