「……………」 向かいをチラッと見ると、スラスラとペンを動かす先輩がいた。 先輩はあたしなんかより、数学の方が必要性を感じてるんだ、きっと。 あたしは制服のポケットに忍ばせている、バレンタインのチョコに触れた。 あたしは、お菓子作りが苦手。 だけど、先輩には手作りチョコを渡したくて一生懸命作ったんだ。 夜中の2時まで作って、ラッピングも丁寧に施したのに…… ……やば。泣きそう。 緩んだ表情を引き締め、何か新しい話題を話そうと、顔を上げた。