午睡は香を纏いて

近い。近すぎる。
どうしてこんな超至近距離に?

ああそう、そうだ、この状態、カインに抱きしめられてたんだっけ?

え。
カインに抱きしめ? 抱き合って、る?


「何だ? カサネ」


あたしを見下ろすカインの唇が、前髪を掠めた。


「う……あ、あ。ああああああっ!
ご、ごめんなさいっ」


何をどうしてこんなに体を預けてるか、あたし!
両手を突っ張って、カインから自分を引き離した。

いや、カインはあたしを落ち着かせようとしてくれたんだろう。
それは分かるし、十分助かった。だけど、それに安心してしまったからって、いつまでもくっつきすぎじゃないか。

あたしの馬鹿!

体温も一気に上昇する。
暗いとはいえ、顔が赤くなったことがバレるだろうか。
嫌だ、それは困る。


「なんだ、そんなに俺が嫌なのか」


顔色を隠そうと後ずさるあたしを見て、カインはカリカリと頭をかいた。