今、すっごくイケメンだけど、すっごく馬鹿で、すんごいムカつく男と並んで歩いている。

 結局あの後、半ば呆れて大声でデジャヴの意味叫んじゃった。
 もう30分以上経っているのに、未だに自分の中で恥ずかしさが渦をまいている。

―――「いい?デジャヴって言うのは外来語で、日本語では既視感って言うの!!で、既視感って言うのは、一度も体験したことが無いはずのことが、すでにどこかで体験したかのように感じること!!分かったっっっ??」
 
 言い終わってからハッ、としたけれど、もう既に時は遅し。
 周りからの痛いほどの視線を感じる。
 このムカつく男も唖然としてたっけ。

 で、結果、今も恥ずかしさが消えないというわけ。

 私って意外と短気だったんだ。あんなことでヤケになったなんて信じられない。


「おい、着いたぞ」

 そうだった、今はこいつに落ち着けるところまで案内してもらっていたんだ。

「らしくないな」

 え?
 まるで私のことを知っているよな口調。