「頼…」

 いつもいつもバッドタイミングで現れる幼なじみを見て、千晴は眉根を寄せる。


「君は?」

「三年の薬袋頼です。俺に何か?」


 いやいや、先生は“図書委員長”に用があって頼にあるわけではない、と千晴は心中でつっこむ。

 教師である飛鳥井は、頼の嘘を見抜けないまま毅然とした態度で向き合っている。



「それにしても君の頭髪及び目の色は…地か?」

「ええ、まあ」

 大層つまらなそうに頷いて、くしゃりと髪の毛に触れる頼。


 ガーネットの髪と瞳。

 周りからは変わっているとよく言われているようだけど、千晴が大嫌いな幼なじみの中で唯一綺麗だと思っているのは、その髪と瞳だけだったりする。


 それにしてもこの教師、とことん教師面をする、と千晴は少しうんざりしてきた。

(一体、徒野くんはいつ来るんだろう…)



「それで先生は何の御用で?」

 もう一度尋ねた頼に千晴も同意だとばかりに頷いて見せると、飛鳥井は至極真面目そうに述べるのであった。



「今日から図書委員会を見守り、指導することになった飛鳥井鉄朗だ。よろしく」