ひゅん!ザグッ!





「え、」


 後方から勢いよく飛んできた何かが、千晴の耳元すれすれで空気を裂く音をさせながらこちらに来ていたナイフにぶつかって落ちた。


 慌てて床に落ちた救世主を拾う。


「ハムレット…」

「「ハムレット?」」

 千晴の呟きに、近衛もリーゼント男子も声を揃えて首を傾げた。



 そう。飛んできたナイフから千晴を守ったのは、一冊の小説。

 シェイクスピアのハムレットだった。