それゆけ、図書委員長が参ります!

「え、なんで?」

 近衛は至極不思議そうに首を傾げる。

 そうしてゆったりと近づいてきた近衛を目の前にした千晴は、震える唇を無理矢理開いた。






「臆病者じゃないクセに臆病者の真似したり、弱いフリをしたり…、正義気取って暴力振るったり。ただのワルモノじゃん」


 自分でも何処からこんなにスラスラと言葉が出てくるのか謎だ。


 本当なら千晴は意見するつもりなんてなかった。

 番長やクラスメートに、頼。
 彼等の言葉に何も返せずにいたいつものように、何も言えず怯えたまま従うはずだった。


 それでも千晴の思ったように事は運ばない。




「そうかもね」

 反応を恐れていた千晴に、近衛は安心させるように微笑む。

 ちょっぴり困ったような。

 朝食に納豆ご飯がでてきた納豆嫌いの子供のような顔で。



 千晴も困ったように眉を八の字にする。

 朝食にでてきたおかずの人参を除けたのを母親に見つかった子供みたいに。