俺も、そうだ。
奴等がこうやって人生に失敗していく様を見るのは、嫌いじゃない。
だけど、いい加減うんざりもしている。
「でも、いい加減おまえには、うんざりしてきちゃってさ」
下卑た笑い声に、くつくつとこちらも笑いが込み上げてくる。
途端笑みを消した奴等のどれかが、また俺の腹部を蹴った。
「笑ってんじゃねぇよ」
だって、可笑しいだろ?
俺も、おまえ等も同じ事を考えてるんだから。
面白いぐらいに転がりアスファルトの壁にぶつかった俺は、地面に手をつき、ようやく上半身を起こした。
口の中一杯に、血の味が広がる。
(俺も、別におまえ等が嫌いなわけじゃないさ、)
(だけど、おまえ等みたいな社会のゴミが消えたって困る奴なんて、いないだろ?)
別に正義を語りたいわけじゃない。
悪は赦せない。それだけで。
俺が今からやろうとしている事は、間違ってはいない。
絶対に。


