「一応ブラックリストに載せるから、学年クラス名前を言って。十文字以内でね」
「え、十文字以内て」
「あと三文字」
「そんな、ばなな」
「三文字オーバーだよ。ふざけてんの」
「そんな、ばなな」
なんだろう、この人。
なんだか偉そうな雰囲気からして三年の先輩なのか。
こんなにキラキラして目立つ人だけど、一体誰だろう…。
「早く名乗って」
「あ、…一年A組……九十九千晴」
「つくもってどう書くの?」
「漢数字で九十九です…けど、先輩、私のこと知りませんか?」
千晴は驚いた。
この学校で千晴が名乗れば誰もが皆驚いて固まるか、鞄を放り出して逃げるのに。
「自意識過剰だね…てか先輩じゃないし」
呆れた顔で、男子はようやく机下から出てきた千晴に告げた。
「一年C組、徒野夕吉(あだしのゆうきち)」
そんな風変わりな図書委員長と出会った冬の季節は、もう終わりに近付いていた。


