彼の出だしは、こんな感じだった。

「ねぇ、ちはる」

 草むらに寝転んでいた彼は、ひょいと起き上がって爽やかに笑ってみせる。

「人間て本当おもしろいよね」


「うん前々から薄々感づいてはいたが、きみは人間じゃなかったか」

「いやそこじゃなくて」



 くだらないと思いながらも頼と言葉を交わした時に、千晴は気づいた。

 いや、本当なら彼が此処にいた時点で気づくべきだったかもしれない。



 遠回りな質問をしたって頼は、のらりくらりとかわしてしまうだろう。


 千晴は、恐る恐る尋ねた。

「頼が、近衛さんの下にいた不良の人達を倒したの?」

「うん」

 あっさりと頼は頷いた。