ゆらり、と体をふらつかせながら夕吉は立ち上がった。

 それから軽く汚れた学ランの腹部を手で払う。


 千晴は、半ば放心状態のままその様子を眺めていたが、

 やがてそっと尋ねた。


「あの…もしや徒野くんは不良を倒したりしてないんじゃないかな?」


 近衛は一瞬虚をつかれたような顔をして、

 夕吉はちらりとそれを一瞥し、フンと鼻をならしてから答えた。



「あたりまえだのくらっかー」