千晴は深呼吸をした。


 (臆病な自分から一歩進むチャンスってやつだわ。きっと、たぶん、私が弱くて大したことないって知ってる人はこの人くらいだし…それに強そうだから不良の皆さんを追い払うのに役立ちそう)


 千晴の気持ちは周りからみれば恋と呼ぶには遠いものだけれど、千晴にはどうでもいいことだった。




「本日より図書委員となりました、二年A組、九十九千晴です」




 覚悟を決めて、ゆっくりひとつひとつ言葉を紡いだ。




「どうぞ、よろしく」




 こうして偽不良の臆病者は、ちょっと変わった図書委員長の下で働く図書委員となった。