氷の姫君

泣きながら静かに首を横に振るセーラさん。

「だめなの。私が明日死ぬことは運命なのよ。」

「運命なんて簡単に言わないで!そんな運命私が変える!」

そう叫んだ月華もまた泣いていた。

ねえ月華さん?私生まれ変わったらあなたみたいに強くなりたいわ。
他人の為に一生懸命生きられる人になりたいわ。

「ありがとう。でもね、変えられない運命もあるのよ。」

静かに呟くセーラ。

「どうして?」

「こればかりは仕方が無いの。ねえ月華さん。私一番怖いのはね忘れられることなの。」

「忘れられること?」

セーラは静かに頷く。

「死んでから誰も思い出してくれないなんて寂しいの。だから一番忘れられることが私は怖いのよ。」

「何言ってるの?忘れるわけないじゃない!それにダルジェもレンさんもメルフェもみんなあなたを覚えているわ!」

「本当に?」

「ええ!私も忘れない。忘れられないよ。私セーラさんと出会ったばかりでまだほんの少ししか話せていないけど大切な友達だから!」


「月華さんありがとう。」