氷の姫君

「ん・・・」

目覚めるとセーラさんが窓辺に立っていた。

その姿はまさに雪。
触れたら消えて無くなりそうなほどの儚さだった。

「セーラさ・・・」

声を掛けようと思ったがかけれなかった。
セーラさんは静かに泣いていた。

「ねえ月華さん。」

セーラさんは外に目を向けたまま話かけて来た。

「なに?」

「私ね、昔から病気なの。いまの医学では治せないものらしいのよ。でも死ぬのは怖くなかったわ。だって奇妙と言われていた私には家族も友達もいなかった。だからいつ死んでもよかったのよ。でも今はね、友達もいるし最愛の人もいるわ。」

「セーラさん・・・・」

「だから今は私、死ぬことが怖いの。怖いのよ。もっとダルジェと一緒に生きて居たいし、あなたともいろいろなお話したり遊んだりしたいの。でもね、出来ないの。出来ないのよ・・・・・」

セーラさんの瞳から次々涙が溢れてきた。

「だから諦めちゃだめだよ！死ぬなんて言わないで！大丈夫だから！ね?」