「せんせー、お注射して」 「ダメですよ、夏川璃苑。中毒になっては」 えー、と俺の足元にすがる夏川を撫でる。 今は拘束をしていない。唯一のものが首輪と鎖だが、夏川を拘束させるものにはなっていない粗末なものだ。 ――あれ以来、夏川は心を開いた。 俺のことが好きというのを自覚したらしい。 ただ。 「注射、注射ー。それか構ってよー」 んー、と膝あたりに頭をつけて怒る夏川は困りものだ。 ここまで性格が変わるとは。