いやはや、事故だ。


まごうことなき事故。


誰も俺を責められないし、肝心の夏川ですら呆けている。


「怪我ありませんね」


すりガラスのためか、破片は飛び散っていない。夏川に被害なく、あるとすれば。


「っ……」


痛みから顔を歪ませる。

右手のひら部分にガラスが食い込んだらしい。


左指で破片を抜き、立とうとすれば。


「せ、先生、血……」


何故か夏川も立つ。


ざばぁとお湯が体から落ちる。節操ないにもほどがある、何しているんですかあなたはと言おうとしたとこで……。