「もしかして持ってきてないとか?」


今度は縦に首を振った。


「じゃあ丁度いいや!!
さくちん、行くよ!!」


何が丁度いいのやら。

またあたしを引っ張りながら階段を駆け上がっていく大翔。

しんどいんですけど……


「着いたよ、さくちん!!」


ダメ……今のあたしには顔をあげることもままならない。


「さくちん?どうしたの?」


原因はお前だ!!

……なんてウルウルしてる大翔には口が裂けても言えない気がする。


「…大丈夫」


そういうと大翔の顔が一気に明るくなった。