「………」
「………」
「……あの、」
「………」
「一瞬だけだけど、本当に一瞬だけなんだけど、触っていい?」
「は!? い、いいけど…??」
藤木くんはやっぱり疑問と動揺を隠せないようで、私がちょこん、と触れてみるなりまた更にびくん、と体をはねらせた。
「…あ、あと、へ、変態とかそういうのじゃなくてね…」
「あ、ああ…」
「手フェチ…そう、私すごい手フェチで…!! 藤木くんの手黙ってたけどすごい好きで…!!」
私ってごまかすの下手すぎる。
なんで手フェチ…絶対気持ち悪がられたかもしれん。
本当はこんな嘘じゃなくて、あのエピソードを話して協力してもらうものいいかもしれないけど、やっぱり私のことだし迷惑かけたくない。
そもそも、アレがどういう意味なのかすらわからないし。
何より藤木くんの知らない人だったら…生徒会に関係ない人だったらすっごい恥ずかしい気がする。
あんまり待たせているのもなんだか悪いように思えて、私は両手で藤木くんの手をぎゅ、っと握った。

