あたしは幸せ者だ。
「ありがとう。やっぱみんなは最高だわ」
「ったりめーだろ!」
そっぽを向いた大雅がなんか今日は可愛く見える。
今日だけ。
「優真君は、あたしのこと忘れない?」
「友達を忘れるわけないじゃん」
ありがとう。
「颯太はあたしのこと忘れない?」
「当たり前だっ!亜美に忘れろって言われても忘れてやんない!」
ありがとう。
「大翔はあたしのこと忘れない?」
「俺の記憶力侮らないでくれる?」
ありがとう。
「大雅はあたしのこと忘れない?」
「だから忘れねぇって言ってんだろ。しつけーな」
ありがとう。
「陽はあたしのこと忘れない?」
「忘れる」
ありが……ん?
「忘れんの?」
「うん!」
嘘でしょ。そんな元気よく言うなよ。
「何で?」
「だって辛いから。会えないのが」
「陽……」
さっきまでの優しい顔をした陽はいない。
とてもつらそうな、かなしそうな顔をした陽がいる。
「一番亜美から離れたくないのは俺かもしんねぇ」
ポツリと言った言葉が、静かな音楽室に響く。



