医者は琉祈の死亡を確認して一言

『13時47分、ご臨終です。』



お母さんに電話を入れた。


『もしもし』


『お母さん、愛奏だけど…』


『あら、お金足りないの?』


『琉祈が…さっき交通事故で死んじゃった。お母さん…』


『…じゃあいつもの口座に1000万振り込むから葬式代と治療費、足りるでしょ?』


『はっ…!?』


『仕事忙しいから好きに葬式していいよ。お墓立てるときは教えて。お金出すから。じゃあ!』



お母さんは鬼ですか?

子供が死んでも悲しくないんですか?


医者から話を聞いていた先生が病室に来た。


『塚本?親戚いるか?』


『いないです。』


『そうか…。ちょっと待っててくれな!?』


そう言い残してまた病室を出ていった先生は10分くらいしてから戻ってきた。


『一応、明日から1週間忌引きもらった。先生も年休1週間とったんだけど、手伝いさせてくれる?』


『うん…』


『琉祈くんのところ行くか?』


『先生?』


『うん?』


『頼っていいですか?』


『おぉ。』



誰かに頼りたくて、先生の存在が支えになっていたのは事実だった。