「麗ちゃんはいないの?好きな人とか」
恵衣にそう聞かれ、
表情変えず麗華は。
「実はあたしも気になってる」
淡々とそう言った。
何を思ったか恵衣は。
「え、真太先輩のこと?」
なんて言った。
なわけないでしょ、と
突っ込みたくなった衝動を抑える。
麗華の口から出た名前は。
「健先輩」
やっぱりな、と思う人の名前。
なんだ、2人とも。
タイプにぴったりの人、
選んじゃって。
「やばいね、それ!2人で頑張ろう!」
「別にあたしはまだ気になってる段階だから。恵衣を応援してるよ」
そこに注文した料理が届く。
いただきます、と。
手を合わせて箸を進める。
「朱里は、やっぱ藤田なの?」
麗華にそう言われ、
思わず吹き出しそうになる。
「え、何で?」
「いや別に何もないんだけど。まだ藤田なのかな、と思って」
まだ十夜とか、そんなんじゃなくて。
十夜からぶれられるなら、
そうしたい。
十夜を忘れられるなら、
そうしたい。
だけど、どうしても、
離れてくれないの。
「うん、そうだね、十夜だね」
そう答えると。
2人はいつものごとく、
勝手に話を進める。
「諒司先輩でいいじゃん!」
「そうだよ。気付いてないわけじゃないでしょ?」
えっと…、何がでしょう?



