雨のち晴






「球技大会だね」




「そうだね」




「やってきたね」





あたしたちは朝から、


教室でぐったり。


何だか、あんなに楽しみに


してた球技大会だったのに。


昨日の帰りの出来事で、


一気に嫌になってしまった。





「朱里」





そこに現れた。


あたしの好きな人。





「おはよう、十夜」




「これ」





目の前に差し出された、


あたしのノート。


と、あたしの好きな飲み物。





「わざわざ持ってきてくれたの?」




「本当は昨日渡すつもりだったけど、渡せなかった」





何だか、十夜の顔が暗い気がして。


覗き込むと、十夜は。





「お前らさ…」




そう言いかけて。





「やっぱ何でも。今日はライバルだからな。負けねえぞ」




十夜はそう言って、


教室を出て行った。


お前らさ…、の後に。


何を言おうとしてたんだろ。


あたしが気にしてると同時に、


恵衣も麗華も気にしていて。


思わず3人で悩みこんでしまった。