「お前、高原ってのいうのか。下は?」
「ちょっ、何なんですか。勝手に見ないでください」
胸に付いている名札を
片手で隠す。
なぜかこの人は、笑ってて。
「お前、面白いな」
なんて言う始末。
「性格悪いですね。何なんですか、2回もぶつかっておいて」
本当最悪。
なんでよりにもよって、
同じ人と2日続けて
ぶつからなきゃいけないの。
「いや、本当昨日も今日もごめん。痛む?」
「痛くないです。っていうか、ほっといてください」
さようなら。
あたしはそう言い残し、
スタスタと玄関に向かう。
それを追いかける、
恵衣と麗華。
「何なの、何なの、何なの」
さっきから、口から出る言葉は
何なのばかり。
だって、何だか。
負けた感じがして。
「と、とりあえずご飯行こ、ね!」
「話はご飯の後で、ね!」
2人とも気を遣って、
話題を逸らしてくれるけど。
頭の中は、あの人のことで
いっぱいになっていた。



