「朱里ちゃん、起きて!」
そんな声が聞こえて、
ふと目を覚ます。
うわ、何この痛み。
首とか腰とか痛いんですけど。
今、何時?
「何でそんな所で寝たの?」
夕里にそう言われて気付く。
あたし、あのまま寝ちゃったのか。
どうりで、痛いはずだ。
あたしは首を擦りながら、
携帯に目をやる。
ディスプレイに表示されている、
7:25のデジタル数字。
「やっばい、遅刻!」
そう言いながら、
受信していたメールを
確認する。
まだ半分頭は寝てて。
≪もう限界。でも俺、頑張った方だろ。朱里はまだやってるのか?早く寝ろよ。おやすみ≫
目を擦りながら、
何回も読み直す。
送り主が十夜だったことに
気付いたのは、
読み直して3回目だった。
「朱里ちゃん、顔気持ち悪いよ」
「うるさい、夕里。早く下行って」
頬に触れて、
にやけていることに驚く。
だめだめ、急がないと。
テストに間に合わなかったら、
シャレにならない。
あたしは、正直メールのことで
頭がいっぱいだったけど、
無理矢理テストモードに切り替える。
「行ってきます!」
いつもより15分遅く家を出て、
学校まで走る。
いつも通る通学路も、
今日は何だか気分が違う。
テストなんだけど、だけど。
頑張れちゃう気がする!



