「…んっ、朱里?」
「あ、起きた?おはよっ」
あくびを1つこぼす彼に、
あたしは満面の笑みを見せる。
十夜は何も知らない様子で
あたしを見つめる。
「手当て、終わった?」
「うん、とっくに。十夜が寝てたから、待ってたんだよ?」
少し意地悪のつもりで言ったのに、
十夜は何も気にすることなく立ち上がった。
「帰るか」
あたしは先を歩く十夜の後ろを
ひたすらに歩く。
手当てのおかげか、歩くことは
全く辛くはない。
「あ、俺鞄取って来るから。玄関にいろ、送ってく」
「あー、いいよ。もう遅くなっちゃったし。多分みんないるから」
なーんて。
2人はもう帰ってる。
ちゃんと気を利かせて、保健室には
姿を見せず、玄関に鞄だけ
置いていってくれた。
携帯に入ったメールが、
やけに「頑張れ」と強調していて
頭から離れない。
それに…。



