「あ、藤田!…じゃなかった、敵!敵!」
邪魔者を払うように手を振って、
ひどく嫌うように顔を歪める恵衣。
十夜はそれを見て、意地の悪い顔で
嬉しそうに笑って見せた。
「何であんたがいるの?」
麗華は冷たく言い放ち、
十夜をじっと見つめる。
十夜は平然とした顔で言い返した。
「何って…、こいつのお守り。手付けたら最後まで世話しねぇとな」
胸が。
一気にきゅうんと。
縮んだ気がした。
「歩けそうか?」
座っているあたしの前にしゃがみ、
目線を合わせる十夜。
何故か、また顔が赤くなって
隠すのに必死だった。
「だ、大丈夫。もう…歩け…っ」
「何言ってんだ、お前。こんな腫れた足でどうやって歩くんだよ、ばーか」
ば、ば、ばか…って。
少しひどくないですか?



