雨のち晴






「どうも」





春斗の買ってくれたアイスを持って。


近くのベンチに腰をかける。


変に意識しちゃって距離を取る。






「何でそんな離れるの」





「だ、だって」





「こっち来いよ」





「は、はぁ?」





春斗はいたって普通。


動揺させられてるのは。


困惑させられてるのは。


きっとあたしだけ。





「今日は俺の女、な」





「何、言ってんの…」






春斗のこれは、天然なんだろうか。


それともわざとなのかな?





「次どこ行くかな」





「そろそろ時間なんですけど」





時計を見ると、


もう集合時間の30分前で。


仕方なく衣装屋さんに


戻ることに。


歩きながら、


周りの人に祝福される。


ばか春斗は、


ありがとうと言いふらす。


本当に、ばかな男。






「先に外出てて」





「何で?」





「会計してくるから」





「は?」






貸衣装だっていうから、


無料なんだと思ってた。


あたしは驚いて、


財布を出す。






「いいよ、出す出す」





「いいから出てろって」





「だめだよ。そこはきちんと」





春斗は断固として譲らない。




「いいから」




あたしは仕方なく外に出て、


春斗を待つことに。





「お待たせ」





「ありがと」





いいえ、と言いながら、


先を歩く春斗。


あー、何か返さないとな。


なんて思いながら、


後ろを着いて行く。


誰かの後ろを歩くなんて、


十夜以外初めてかもしれないな。


なんて、ふと十夜を思い出したりして。


今日の衣装だって、


十夜と着れてたらな、なんて。


そんなこと考えたりして。






「朱里~っ」





「来海!」






嬉しそうな顔で


駆け寄って来る来海。


きっとこの笑顔は、


幸せな笑顔だ。







「どうだった?」





「もう超楽しかった!」





来海の笑顔を見て、


なんやかんや2人にして


よかったと。


思うことが出来た。