お昼には、そこの近くのレストランで
昼食をとった。
自由に座っていいことになり、
当たり前のように恵衣と麗華と
一緒に座った。
バイキング形式で、
順番に並ぶ。
ふと後ろに気配を感じて。
振り向くと。
「気配に敏感なのな、お前」
「武井くんっ…」
武井くんはあたしの耳元に
顔を近付け。
甘い吐息を吹きかける。
「珍しいね、武井くんがいるなんて」
「俺のこと知ってんだ。名前何て言うの?」
「中山恵衣です。こっちは石黒麗華」
「どうも」
すんなり2人は自己紹介。
ていうか、恵衣の目が
ハートな気がするんですけど。
「恵衣と麗華か。2人とも可愛いね」
なんて、さらっと言っちゃうあたり。
こいつは多分、チャラ男。
「武井くんも一緒に座ろうよ!ね!」
「ん、別にいいよ」
恵衣も麗華も、
普通に会話を進めていく。
あたしの許可など、
もちろん取らずに。
「お前、小食なのな」
「別にそんなことないけど」
「もっと食えよ、ほら」
あたしの後ろに並ぶ武井くんは、
無理矢理あたしのお皿に
料理を乗せる。
「ちょっ、やめてよっ」
「美味いって、絶対。食え食え」
「もうー…」
勝手すぎるでしょ、ちょっと。
ぷんすか怒るあたしを見て、
武井くんは嬉しそうに笑う。
何なの全く。
調子狂うったらありゃしない。
「武井くんは、彼女いないの?」
「いないね。募集中」
なぜか4人がけの席に、
恵衣と麗華、あたしと彼で
座ることに。
「意外だね」
「だよね、いそうなのに」
恵衣も麗華も、
すっごく楽しそうに笑う。
あたしの気持ちなんて、
考えてもくれない。



