「起きなさいよ」
「んっ…」
急に体を揺すられて、
目が覚める。
視界に入ったのは、
何回も言わせんな、と
怒っている麗華。
「藤田、あんたも」
そう言われて状況を把握。
そうだ、あたし寝ちゃったんだ。
ふと意識を戻すと。
あたしは十夜に肩を抱かれて、
肩に寄りかかって
眠っていた。
うわぁ、何これ。
急に恥ずかしくなって体を離す。
それを楽しそうに、
笑いながら見る恵衣。
「着いた?」
「みたいだよ」
隣で寝起きの十夜が
あたしを見つめる。
「なっ、何…」
「寝顔見させていただきました」
まだ寝ぼけ眼の十夜は、
あたしにお辞儀した。
何か、変な感じ。
隣に十夜がいて、
こんなに密着して。
愛しさが増す。
「もういいから、早く準備しなさいよ」
麗華の厳しい一言に、
あたしと十夜は顔を見合わせて
はーいと返事をした。
バスを降りて、飛行機に乗り込む。
小さい頃に乗った以来の飛行機で、
少し怖い気もして。
空港から数時間経ち、
やっと降り立った沖縄の地。
「沖縄~っ!」
「恥ずかしいからやめて」
着いてすぐ、
またバスに乗って移動。
今日の予定は、
沖縄の人のお話を聞いて、
午後から班で観光。
着いた会場は、
すごく立派な建物で。
ホールで話を聞くけど、
全く沖縄の言葉が分からず。
居眠りをしていたのは、
ここだけの話。



