雨のち晴







それから少し経って。


変わったことがちょっとだけ。


それは。





「朱里ノート貸せ」





「嫌です」





修学旅行の班ごとで


席替えをして。


あたしは窓側から2番目の1番後ろで。


十夜は廊下側の1番前になって。


そしてあたしの隣になった、


武井くんが毎日学校に


来るようになった。


そして毎回のように、


授業中ちょっかいをかけてくる。





「パン買って来て」





「自分で行きなよ」





「何でもいいから。早く」





結局押し負けて、


買いに行かされる。


そしてなぜか。


帰ってくると、


机の上にはジュースがあった。





「朱里」





武井くんと話してると。


後ろから、くいっと髪を引っ張られ。





「関根が来いって。行くぞ」






「あ、うん。待って」





心なしか、十夜が怒ってる気がする。


あたしは、何かしたかなと


思いながら後ろを着いて行く。


背中から何かが伝わってくる感じ。






「十夜?」





「何?」





「どうしたの?」





「別に」






だって十夜、


1回もこっち見ないんだもん。


何だか、怖い。






「明日の放課後、お前ら暇?」





「は?何やんの?」





「まあまあ。仕事があんだよ。ってことで空けとけな」






それだけの用事で呼び出される。


本当関根って勝手。


職員室を出てからずっと、


黙り込む十夜。


どうしたらいいの。


そう思っていると。





「お前さ」





「え?」





「武井と仲良いよな」





武井くんの名前が出て来て、


少し驚いた。


何これ。それって。


嫉妬みたいで。






「普通だよ。ただのクラスメイト」






「腹立つわ、まじで」






何が?え?何で?


困惑して固まってしまう。