5月の終わり。


ざわざわする時期。


そう、もうすぐ。


待ちに待った修学旅行だから。





「班は俺が決めた」





「は?」





「お前まじありえねー」





HRの時間。


教室に入って来た関根は、


そう淡々と言った。


もちろん、みんなからはブーイング。


班決めも楽しみの1つだったから、


それを簡単に奪った関根は、


多分一瞬で敵になった。






「これ班のメンバーリストな」





そう言って紙を配る。


あたしが求めた人物は。


十夜はあたしと一緒じゃなかった。


恨むわ、関根め。






「朱里ちょっと」






班で固まって自由行動の


話し合いをしている時。


関根はあたしを前に呼んだ。







「何?」





「お前の班にさ、春斗入れてあんだわ」





そう言われてメンバー表を見る。





「本当だ」





「春斗、ちょっと迎えに行ってきて」





「え…」






春斗。武井 春斗。


この人は結構な問題児で。


あまり見たこともないし。


まじめにやってる姿も、


見たことない。


悪い人とも仲良しだし。


あんまりよく知らないけど。






「多分今保健室にいるから」





「…分かった」





そう言われて渋々教室を出る。


保健室に向かいながら、


不安でいっぱいになる。


何であたしがあの人と一緒なの。


ってか、ありえないでしょ。


十夜とも一緒じゃないし。


まじで、何であんな奴が


好きなの、麗華。






「失礼しまーす」





中にフジ子ちゃんがいるのを確認して


静かに入る。


フジ子ちゃんは驚きもせず、


あたしを見てどうしたの、と


呟いた。