雨のち晴







「ふーん」






そんな風に、何食わぬ顔をして。


内心気になって仕方なくて。


そんな噂、初めて聞いたし。


まず丘谷になんか興味なかったし。


そんな噂のある男が、


何で朱里と付き合ってんだよ。


朱里は、何であいつと。


俺は丘谷のことで盛り上がる


こいつらに腹が立って。


思い切り机を殴りつけ。






「もうその話やめろ」





と言った。


胸糞悪ぃ。


何なんだよ、丘谷。


何でお前なんだよ。


イライラする一方で、


どうしようもなくて。


飯代だけ置いて、


俺は1人店を出た。


…しょうもねぇ。


しょうもねぇな、俺。


どうしようもなくて、


仕方ない。


俺は帰りながら、


ただあいつらに当たっただけだ、と。




「小っせぇ、まじで」





1人反省した。


次会ったら謝ろう。


申し訳ない。


そんな気持ちでいっぱいだった。







「お前ら、ご苦労だった」





「まじいい加減にしろや、関根」





「こんなの自分で出来んだろうが」






職員室で関根に文句を言う。


放課後、俺と輝と力哉を呼び止めて、


簡単で量の多い雑用を


押し付けてきやがった。






「まぁまぁ、これで許せ。な?」





そう言って関根は、


俺らに飴を3つ渡して来た。


まじでばかにしてやがる。


けど憎なさすぎてムカつく。





「失礼しました」





職員室を出て玄関に向かう。


靴を履き替えて外に出て。


玄関で人がたまっていた。


やばくない?とか。


卒業生でしょ、とか。


そんな声が聞こえて来て。


俺ら3人何のことかと気になって


外に出てみると。


男の人たちの群れと、


石黒と中山と。


中央に男に蹴られて、


しりもちをつく朱里がいた。