初々しい入学生が、


校門をくぐっている。


春休みはあっという間に過ぎ、


あたしたちは3年生になった。


あれから、諒司先輩と会って、


事情を聴いたことを知った。


そして気付けなくてごめん。


行ってやれなくてごめん、と。


お店の中で、大声で謝られた。


あたしはもうおかしくて、


笑って許した。


こんなに謝ってくれてるんだもん。


何より、お店の中だし、


少し恥ずかしいし。


大丈夫だから、と告げると、


諒司先輩は切なそうに笑った。






「クラス分け、どうなってるかな?」





「また一緒だといいね」





麗華も恵衣もあの夜のことは知ってる。


だけど春休みを経て、


時間が経った今、何もなかった


ように接してくれる。


あたしはすごく嬉しかった。







「あれ、藤田じゃない?」





「あ、本当だ!ふーじーた!」






もうすぐ学校に着く場所で。


前を歩く十夜を見つけ、


恵衣は大声で呼び止めた。


十夜は振り返ると、


一言。


お前らかよ、と呟いた。







「中山、お前まじでうるせえ」





「何よ!そっちこそ、暗いのよ!」





「あ?暗い?何言ってんだ、お前」






久々に4人で話す気がする。


前に恵衣と十夜が並んで歩いて、


後ろにあたしと麗華が歩く。


この光景がなくなったのは、


いつからだっただろうか。






「みんなでせーので見よう!」





「いいよ。せーのね」





「いくよ?せーの!」





十夜は目を隠してはくれなかったけど、


4人で一緒にクラス分けを見た。


そして名前を探して。


あたしたちは騒いだ。






「何でー!」





恵衣は涙交じりの叫びで、


あたしを見た。


思っても見なかった。


麗華と恵衣と離れて、


十夜と一緒になるなんて。